- フランソワ社長
海外のトップサロンで働くには

2008年、高校生の頃からの夢を叶えるためにフランスへ渡った。
日本での美容師経験は6年、英語は片言、フランス語は全く喋れずの僕が2011年までの4年間、フランスのトップサロン 『DESSANGE paris』 で働けたノウハウを伝えます。
これから海外を目指す、気合の入った美容学生と美容師さんの役に立てばと!
まずはじめに伝えたいことは、甘い気持ち だったら海外では通用しない。
・海外で働けたらかっこいい
・日系サロンだったら働けそう
・日本の技術は世界一
なんて考えなんだったら、止めた方がいい。
そんな美容師を沢山、見てきたけど、誰一人として生き残った人を見たことがない。
限られた時間とお金で、効率よく海外サロンへ就職する には
☑ 語学
☑ ブロー
☑ デザイン力
この3つとビザの問題がクリアになれば、かなりの確率で現地サロンで働ける。
ただ初めから全てに完璧を求めては途方もない時間がかかるので、就職時にトータル70点あればいい。
あとはアプリがアップデートを繰り返すように、細かいことは就職してから修正し、100点にすればいい。
☑ 語学
一番問題なのが語学。
美容師で最初から語学が堪能な人はほとんどいないだろう。
英語ができれば世界中、どこでも通用すると思ってる人がいるが大間違えだ。
現地の言葉が話せなければ、お客さんとコミュニケーションが取れないので、新規の入客すらできない。 スタイリストとしてステージに立つことすらできないのだ。
僕も最初は英語が少しできれば、なんとかなるだろうという甘い考えでいたが、入社1週間で社長からすぐに語学学校へ行くように言われた。
1年間、サロンワークをしながら語学学校に通い、必死で勉強しても、言われていることが分かるレベル。(頭のいい人は別だが) 4年もいれば、日常会話ができるぐらい成長したが、それでもフランス語は難しかった。
僕が語学を習得するのに実践した勉強法は3つ
・1日10単語覚える
・よく使う言葉を丸暗記する
・同僚や友達と話しまくる
日本で勉強することも大切だが、やはり現地で学ぶ方が吸収は断然早い。 学ぶ気持ちと真面目に勉強すれば環境が人を成長させてくれる。
分からないことは恥ずかしがらず質問し、正しく理解すること。
外国人は子供に話すような感じで、丁寧に教えてくれる。
☑ブロー
欧米ではブローでスタイルが作れなければ通用しない。
カットはデザインを構成するうえで、一つの手段にしかすぎず、最終的に評価されるのはデザインである。
要するにカット以上にブローが必要ということ。
欧米人は80%がクセ毛で、ブローでツヤを出し、クセを伸ばしてスタイルを作る技術が求められる。
スパイラルパーマをあてたぐらいグリグリのクセ毛を日本人美容師がブラシ1本で綺麗にストレートにできるだろうか?
答えは ‶NO″ほとんどの美容師ができないだろう。
それは多くの日本人が直毛で、しっかりブローをする文化でないからだ。
日本で6年、経験を積んだ僕のブローはフランスの美容学生、以下。
習得までに1年かかり、大変苦労した経験を昨日のように覚えている。
僕がブローを習得するのに実践した方法はただ一つ
・毎日、モデルを入れる
練習する以外に方法はない。
練習することで、多様な髪質と骨格を理解できる。
ただ、数をこなせばよいというのではなく、上手くなってお客さんやモデルさんに喜んでもらいたいという想いを持って取り組むことが大切。
☑ デザイン力
人は一人一人、輪郭・目・鼻・口・頬・おでこ・骨格・髪質が異なる。
それを理解した上で似合せが必要になる。
カウンセリング時の要望はこうだ。
『長さはこれぐらい切ってほしい。後は私に似合うようにしてね。』
『私はこうしたら自分に似合うと思うけど、あなたはどう思う?』
『全てあなたに任せるね。』
お客さんのほとんどは美容師に似合わせ=デザインを求める。 ワクワク・ドキドキさせるデザインを提供できなければリピートはない。
それだけフランスはデザインに対してシビアな国である。
僕が担当したお客さんの中に 「今、このスタイルが流行りだから、、、」 なんて人は一人もいなかった。
僕が似合わせを習得するのに実践した方法は3つ
・映画を見る
・いろんな国へ旅をする
・作品撮りをする
自分が経験したことがない刺激を求めることで新しいデザインのインスピレーションに繋がる。
今の環境で満足するのではなく、何か一つでも新しい発見や挑戦をすることで人は必ず成長する。
………僕が伝えたいことは………
要点を抑えることで、海外で働ける確率がアップするということ。 そして日本でできること、現地できることをしっかり分けて目標立てをすること。
海外で働くためのノウハウをまとめると
■語学は現地で必死に勉強する方が習得が早い
■ブローは現地サロンで学ぶか、欧米で長年経験した人から教わる
■デザイン力をつけるには作品撮りをする
まずはどこの国でいつ働きたいのか尻を決める。
そうすることにより、逆算で計画を立てることができる。
イメージだけで決めるのではなく、一度は働きたい国を訪れることも大切だ。
僕がオススメしたい就職までの流れは渡航後、1年間は学生ビザで語学学校に通い、現地サロンでインターンシップをする。
1年で語学とブローを身に付けながら就職活動し、自分に合ったサロンを見つける。
実力次第ではすぐに就労ビザの手続きをしてくれるサロンもあるが、ごく稀である。 その為、2年目はワーキングホリデービザを活用し、フルタイムで働き、結果を残してから就労ビザの手続きをお願いする。
ただ、国や州によって法律が異なるため、どこでもこの方法が通用するとは限らないが、フランスでは最短で現地サロンに就職できる。
最後に海外で活躍するためには、やる気・情熱・想いがないと生き残れない。
正直、辛い事もたくさんあるし、日本に帰りたくなることもあるだろう。 でも、自らの可能性を信じ、リスクを恐れることなく、世界の舞台へ挑戦してほしい。
一歩を踏み出した人にしか得れない出会いと経験がそこには待っている。